しじみの貝がら

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【レビュー】是枝裕和監督の『万引き家族』

先日、上映期間ギリギリ滑り込みで是枝裕和監督の『万引き家族』を見てきたので、感想を書いていきます。

 

【注意:以下ネタバレを含みます】

 

まず、一言。

とにかくムチャクチャ良かったです。

 

最近(といってもここしばらく見てなかったけど)、映画をよく見るようになり、基本は家で見るのですが、やはり上映中の作品は映画館で見たいということで、映画館にも通うようになりました。ただ、前評判や見てきた人々の感想を確認して「お、見てみたいな」と思い、わざわざ映画館まで足を運び、決して安いとは言えないチケット代を払ったにも関わらず、面白くない作品に出合ってしまうことがどれだけ多かったか!(映画の鑑賞料金の各国間での比較は次のサイトの参照ください。例として、アメリカは約800円、韓国は約700円、中国は約400円となっており、日本の約1500円がどれほど高いか分かりますね。ただし、北欧もかなり高いようです。日本の映画料金は世界一高い?海外の映画料金比較と市場の動向

ということで、映画館に通うことも考え物だなと思っていたところに、今回見た『万引き家族』です。ハリウッドのような派手さは無いし、何か強烈に感動することもない、淡々とした映画です。ただ、淡々としているからこそ、登場人物の微妙な心情をよく感じ取ることができるのかもしれません。最初は、邦画でかなり久々に「パルムドール」を受賞したそうで、それに乗っかって見てみたいというなかなかミーハーな動機でしたが、実際に見てみるとそりゃ何か賞受けるわけだな、と思いましたね。

 

以下では、記憶に頼ったとんでもなく曖昧なあらすじといくつかにシーンを絞った自分的見どころを紹介していきます。

 

あらすじ

万引きをして生計を立てている「万引き家族」があるとき、家の外に放り出されている少女をみかけ、自分たちの家にかくまう。少女はそのまま万引き家族の一員となって、日々を過ごしていく。駄菓子屋やスーパーでの万引き、セミ取り、そして海水浴。

万引き家族といっても、万引きだけで生きていけるわけではなく、みんなそれぞれ仕事についていた。「父親役」の男は建設現場へ、「母親役」はクリーニング作業場へ、「娘役」はライト風俗店へ。

あるとき、少女と「息子役」の少年はスーパーへ行く。このころ少女は既に万引きをする上での「おまじない」やテクニックなどの最低限の知識は身に着けていた。いよいよ少女が万引きをするとき、「息子役」は店員の気をそらすため万引きし、店員に見つかって追いかけられる。逃げ続けたが万事休す。とうとう挟み撃ちになりかなりの落差のあるところを降りて負傷し、捕まる。「父親役」や「母親役」はこの知らせを聞きつけて警察のもとへ向かう。この出来事をきっかけに「万引き家族」という偽りの家族は決定的な分裂へ向かうのだった……。

 

見どころ

・「娘役」のライト風俗店でのふれ合い

 「万引き家族」の「娘役」はライト風俗店に勤めており、鏡越しに間接的に客へ性的なサービスを提供しているのですが、ある客と懇意になり、直にふれ合えるサービスを行います。ただし、その客はただ何も喋らず彼女に膝枕をしてもらっているだけで、事情を尋ねてみると彼と彼女にある共通点が発覚します。結局それから特に何か起きるというわけではないのですし、その共通点について深く立ち入ることもないのですが、それがかえって視聴者の想像力を働かせるため、彼と彼女の悲しい境遇をそれとなく察し、感動しました。

 

・「父親役」と「息子役」の別れ

「父親役」は「息子役」が捕まった際、「息子役」を放ってその他の「万引き家族」と家から逃げようとしました。一連の事件が一応解決したあと、二人は再開するのですが、そのとき「息子役」に本当に自分を置いて逃げようとしたのかと尋ね、それに対して「そうだ」と答えます。そして、二人が別れのとき、「息子役」は自分も(この家族関係を終わらせるために)敢えて万引きをバレるようにしたと言って去ります。この二人のセリフはそのままのことを思って言っているのではなく、やはり本当のところは心がつながりあっていたと思います。ただ、彼らが再び家族となることは決して無いので、今までの関係を清算するため、どちらも冷たくあしらうのでした。あれほど深い絆に結ばれていたも家族になることはもう無いという意味ではバッドエンドなのですが、「息子役」は施設に入り学校にも通うようになり、他方、「父親役」は万引きから足を洗う?)という社会的にはハッピーエンドであるという、この複雑な終わり方が視聴後に、心地よいかどうかは分かりませんが、余韻となって、しみじみとさせられます。

 

・少女が取り戻した「日常」

少女は虐待されていたところを「万引き家族」に「保護」され、生活を共にしますが、最終的には「本当の家族」のもとへ戻ります。しかし、やはりまた元どおり家の外に放り出されて(?)、家の外で遊びます。少女の「万引き家族」とその後の生活についても、「父親役」と「息子役」の別れと同様に、「本当にそれで良かったのか?」という気持ちが視聴後にも残り、考えさせられ続けられるのでした。

 

・他にも、「母親役」が少女の保護(誘拐)の件で警察に捕まり、そこで「本当の母親になりたかったんじゃないの?」的な質問をされて涙するところに涙しました。

 

現在上映されている映画館はもうほとんどないかもしれませんが、本当に面白い(「面白おかしい」という意味ではもちろんありません)ので、気になっている方はぜひ視聴してみてはどうでしょうか?